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井口 正; 柴本 泰照; 浅香 英明; 中村 秀夫
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2003/04
BWRの水力不安定時には、流量変動に同期して燃料被覆が沸騰遷移とリウェットを周期的に繰り返すことが知られている。著者らは、THYNC試験装置により、実機核燃料と同長、同径の模擬燃料による22管群試験部を用いて、水力不安定実験を行った。その結果、模擬燃料出力を増加すれば、このような周期的沸騰遷移状態が発生し、さらに模擬燃料出力を増加すれば膜沸騰が持続する状態に至り、いずれの場合も模擬燃料温度は逸走しないことを確認した。周期的膜沸騰発生条件は、流量瞬時値が定常沸騰遷移曲線を下回るときで近似できた。持続的膜沸騰は、流量変動の振幅などの振動特性に依存するものの、質量流束変動の中心値が定常沸騰遷移曲線より小さいチャンネル出力で発生した。持続的膜沸騰発生条件は、低圧(2MPa以下),低流量(400kg/m2s以下)の条件では、梅川のモデルとほぼ一致した。高圧(7MPa)では、流量変動1周期間の熱バランスに基礎を置いた実験式とほぼ一致した。TRAC-BF1コードにより、周期的膜沸騰や持続的膜沸騰を予測できた。周期的膜沸騰遷移出力の予測結果はほぼ実験結果と一致したが、リウェット挙動の予測が不適切のため持続的膜沸騰遷移出力はよく予測できなかった。
井口 正
JAERI-Research 2000-050, 107 Pages, 2000/09
BWR燃料と模擬燃料の伝熱特性、特に熱容量及び熱的時定数を検討した。BWR燃料からの単位長さあたりの熱容量cp A(kJ/mK)は、300から800の範囲では、0.34kJ/mKから0.36kJ/mKの範囲にあると見積もられる。模擬燃料の熱容量は、製作上のばらつきの影響、高さ位置の違いの影響は小さく、温度が高いほど大きい。異常時炉心伝熱試験の模擬燃料の熱容量は、600Kで約0.38kJ/mKとなり、この値は実機平均値(0.35kJ/mK)の+9%である。一方、核熱結合試験の模擬燃料の熱容量は、600Kで約0.42kJ/mKとなり、この値は実機平均値の+20%である。熱的時定数は、表面熱伝達率、熱拡散率、ギャップコンダクタンスに関係する。表面熱伝達率が小さい場合、表面熱伝達が伝熱を支配し、熱的時定数は表面熱伝達率に関係する。表面熱伝達率が大きい場合、内部熱伝導が伝熱を支配し、熱的時定数は熱拡散率に関係する。前者の場合、1点近似モデルが成立し、時定数は表面熱伝達率に反比例する。この場合、表面熱伝達率が1kW/mKのとき、BWR燃料、模擬燃料の熱的時定数はそれぞれ約10s、約13sと見積もられた。一方、後者の場合、時定数は表面熱伝達率にかかわらず、熱拡散率に逆比例する一定値に漸近する。この場合、BWR燃料では約5s、模擬燃料では1s以下と見積もられた。ギャップコンダクタンスが小さくなると、ギャップ部の伝熱が支配的になり、この場合熱的時定数はギャップコンダクタンスに関係する。
安藤 真樹; 三澤 毅*; 仁科 浩二郎*; 代谷 誠治*
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(5), p.445 - 453, 1997/05
被引用回数:6 パーセンタイル:47.9(Nuclear Science & Technology)核的結合度が弱いような軸方向非均質炉心の核特性を調べることを目的とし、京都大学臨界集合体(KUCA)の固体減速架台において実験を行った。実験体系は内部ブランケットにより炉心が上下に分割された結合炉心であり、2炉心間の核的結合度が弱く中性子束歪(Flux Tilt)が発生しやすい体系である。測定した制御棒の微分反応度曲線は上下炉心間で非対称となり、これは制御棒挿入に伴い生じたFlux Tiltの影響であると考えられる。Flux Tiltの発生を金線の反応率分布測定により詳細に調べた結果、制御棒を上部炉心の一部に挿入することによりFlux Tiltが顕著に発生し、また、中性子束分布の歪み方は炉心部では一様であり、エネルギー依存性もないことが分かった。一次モード固有値間隔とFlux Tiltの関係式をEHP法により導出し、金線反応率分布の測定結果よりFlux Tiltを定量的に求め固有値間隔を得た。得られた固有値間隔は計算値と良く一致した。
熊丸 博滋; 田坂 完二*
JAERI-M 90-142, 63 Pages, 1990/08
LSTF(大型非定常試験装置)実験のための新出力曲線を、特に遅発中性子による核分裂の出力の評価及びPWR(加圧水型原子炉)燃料棒の蓄積熱の考慮という2点において、最適評価ベースで計算した。LSTFヒータロッド中の外側絶縁材の熱伝導率の値に不確かさがあるため、LSTFヒータロッドの蓄積熱は無視し、最終的には、PWR燃料棒よりの熱伝達量が新出力曲線として採用された。新出力曲線をLSTF炉心出力曲線として用いた場合、LSTFヒータロッドよりの熱伝達量は、PWR燃料棒よりの熱伝達量と比較して、少し保守的な値を与える。